近年、保険業界全体として顧客本位の業務運営の実践が求められており、2018年の保険業法改正以降、様々な対策が行われてきました。
そんな中、2022年4月から開始されたのが、「業務品質評価運営」です。
生命保険協会が主体となり、「業務品質評価基準」に基づいて生命保険乗合代理店の業務品質向上をサポートする取組みで、その結果は消費者向けに公表される予定のため、業界全体の業務品質の向上や消費者が代理店を選ぶ際の情報源として貢献するだろうと期待されています。
「業務品質評価基準」の概要
消費者にとって、理想的な代理店として求められる業務品質が大きく分けて4つ挙げられており、
「基本項目」と「応用項目」を合わせて合計210項目にも及びます。
ここではその一部をご紹介します。
【Ⅰ:顧客対応】
- お客さまのニーズに合致した提案を行い、お客さまの状況を踏まえた上で契約内容やリスク等を適切かつ十分に説明する
- 取扱商品の中から、お客さまの意向に基づき比較可能な商品の概要を明示し、お客さまの求めに応じて商品内容を説明する
- 代理店が受け取る手数料水準の高い商品に誘導するような商品の絞込みや推奨を行わない
【Ⅱ:アフターフォロー】
- 失効防止に向けた入金勧奨について対応もれが発生しない態勢(チェックリストや自社役席者による確認等)を整備している
- 高齢者等に対して保全活動を行う際には、お客さま属性や商品特性等を踏まえ実施する態勢を整備している
- 苦情について経営層が報告を受け、必要に応じ社内共有化・再発防止策等を実施している
【Ⅲ:個人情報保護】
- 個人情報の保護に関する法律・法令等に則った項目が規程・マニュアル等に明文化されている
- 個人情報保護に関する教育に加え、テスト等を活用の上、習熟状況を把握し、未習熟な点について追加指導を行っている
- 個人情報を管理するシステムへのアクセスについて、職務内容に応じたアクセス制限や複雑なパスワード設定などの対応を行っている
【Ⅳ:ガバナンス】
- 全拠点に対して定期的に内部監査を実施している
- 帳簿書類の作成・保存について、社内規程で必要帳簿の種類・作成手順・保存方法・保存年月を規定している
- 従業員の勤怠状況および活動状況について、本人による申請・管理者による承認・本部による定期的な確認が仕組み化されている
出典:「業務品質評価基準一覧(2022年度版)」一般社団法人生命保険協会
(https://www.seiho.or.jp/quality/background/pdf/d_2.pdf)
「業務品質評価運営」の仕組み
各代理店は前述の「業務品質評価基準」に基づき、自らの業務品質に関する取組み状況をチェックすることができ、自己チェックにより発覚した不十分な取組みについて、改善を行うことで業務品質の向上につなげることが可能となります。
また、自己チェックの結果、「基本項目」をすべてを充足していると宣言した代理店には、2022年9月頃から生命保険協会が業務品質調査を実施。その結果については、生命保険協会ホームページで代理店名や取組事例を公表の予定です。
対象代理店
対象代理店は生保乗合代理店のうち、希望する代理店
※個人代理店、金融機関理店、金融機関関係代理店、日本郵政グループを除く
調査申込方法
生保協会HP等を通じて、原則年に1回参加申込機会が設けられます。
申し込みする場合は、代理店側に30万円の負担が求められます。
※申込代理店が200社を超えた場合は、調査の対象をしぼられます。
調査方法
オフサイト(書面)調査を行った上で、オンサイト(訪問)調査が行われます。
評価結果に不服がある場合は、再調査を依頼することも可能です。
保険業界全体の業務品質の向上や消費者が安心して相談できる代理店の見える化に期待が高まります!